水素イオン濃度とpH
胃液はpH≈1、血液はpH≈7.4。この数字が表す酸塩基性の強さとは?
水のイオン積とpHの意味を、はじめての人から難関大志望者まで使えるレベルで理解しよう。
📍 単元5「酸と塩基」2/4ページ:① 酸と塩基 → ② pH(このページ) → ③ 中和反応 → ④ 中和滴定
水のイオン積と中性の条件
純粋な水(蒸留水)は「酸でも塩基でもない中性」だと思われがちだが、実は水分子のごく一部が自然にH⁺とOH⁻に分かれている(水の自己電離)。これは酸や塩基を一切加えていない水でも起こる、水そのものの性質。この「自然に分かれる度合い」が、酸性・中性・塩基性を測るものさしの土台になっている。
水はわずかに自己電離している。25℃での水のイオン積 K_wは常に一定で、[H⁺]と[OH⁻]の積は常に1.0×10⁻¹⁴(mol/L)²となる。
❌ よくある誤解
酸を加えると[H⁺]が増えるが、それに応じて[OH⁻]は減り、両者の積は常に一定に保たれる。この関係があるからこそ、[H⁺]がわかれば[OH⁻]を逆算でき、pHの計算ができる。
「何も入っていない」のではなく、「プラスとマイナスの量がつり合っている」のが中性の正しいイメージ。
水のイオン積K_wは温度によって変化する(温度が上がると水の電離がわずかに進み、K_wは大きくなる)。25℃でK_w=1.0×10⁻¹⁴だが、例えば100℃ではK_wはこれより大きな値になる。そのため「中性のpHは常に7」というのは25℃という条件付きの話であり、高温では中性でもpHが7より小さくなる。大学範囲(温度依存性)
pH(水素イオン指数)
[H⁺]をそのまま「0.0000001 mol/L」のように書くと桁数が多すぎて扱いにくい。そこでpHという指標を使い、これを扱いやすい「7」という数字に変換する。pHは0〜14の範囲で表され、数字が小さいほど酸性が強く、大きいほど塩基性が強い。
pHは水溶液の酸性・塩基性の強さを表す指標。[H⁺]の常用対数の符号を反転した値。pHが小さいほど酸性が強い。
図1:pHスケール(0〜14)と代表的な水溶液のpHの目安。
🧮 pH計算の例
| 水溶液 | [H⁺]の求め方 | pH |
|---|---|---|
| 0.10 mol/L HCl(強酸) | [H⁺] = 0.10 = 10⁻¹ mol/L | pH = 1 |
| 0.01 mol/L HCl | [H⁺] = 0.01 = 10⁻² mol/L | pH = 2 |
| 0.10 mol/L NaOH(強塩基) | [OH⁻] = 0.10 → [H⁺] = 10⁻¹⁴/10⁻¹ = 10⁻¹³ | pH = 13 |
❌ よくある誤解
pH1の溶液とpH3の溶液では、pHの差は2だが、[H⁺]の比は10²=100倍にもなる。「pHの数字」と「酸の強さ」を単純な比例で考えないよう注意。
pHは「もともとの濃度」ではなく「実際に電離して生じた[H⁺]」で決まる。弱酸のpH計算には電離度や電離定数を考慮する必要がある(発展レイヤー参照)。
弱酸のpHを求めるには、電離定数K_aと電離度αの関係(K_a = Cα² の近似式、Cはモル濃度)を使う。酢酸(K_a=1.8×10⁻⁵)の場合、濃度が薄くなるほど電離度αは大きくなる(電離度が増加する)ことも導かれる。この関係は単元5の1ページ目で学んだ電離平衡の考え方と、対数を使ったpHの計算を組み合わせたもので、難関大入試の頻出テーマ。弱酸のpH計算は発展的内容
✅ この単元のまとめ
- 水のイオン積 K_w = [H⁺][OH⁻] = 10⁻¹⁴(25℃)は、酸性・中性・塩基性を問わず常に成立
- 中性:[H⁺]=[OH⁻](「何もない」ではなく「つり合っている」状態)
- pH = −log₁₀[H⁺];[H⁺] = 10⁻ᵖᴴ mol/L
- pH < 7 → 酸性、pH = 7 → 中性、pH > 7 → 塩基性(25℃)。pHが1変わると[H⁺]は10倍変わる
- 強酸:[H⁺] = c(モル濃度);強塩基:[OH⁻] = c → [H⁺] = 10⁻¹⁴ / c
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