電気分解と電池
電流を流すと物質が分解される——電気分解。
逆に化学変化から電気を取り出す——電池。
2つの関係を図解で理解しよう。
電気分解
塩化銅水溶液に電流を流すと、片方の電極には赤い銅が付き、もう片方からは黄緑色の刺激臭がする気体(塩素)が出てくる。電流の力で物質を分解するこの現象を電気分解という。
電解質の水溶液に電流を流すと、電極で化学変化が起こり、物質が分解される。 これを電気分解という。陰極(-極)と陽極(+極)で異なる変化が起こる。
図1:塩化銅水溶液の電気分解。陰極に銅が析出し、陽極から塩素ガスが発生する。
⚡ 電気分解の電極まとめ
| 電極 | 電源との接続 | 変化 | CuCl₂ の場合 |
|---|---|---|---|
| 陰極 | 電源の-側 | 陽イオンが電子を受け取る(還元) | Cu²⁺ → Cu(銅が析出) |
| 陽極 | 電源の+側 | 陰イオンが電子を放出(酸化) | Cl⁻ → Cl₂(塩素ガス発生) |
❌ よくある誤解
電気分解は外部から電気エネルギーを与えて反応を起こす(電気→化学)。電池は逆に化学変化から電気を取り出す(化学→電気)。この方向の違いが、この単元後半の「電池」との対比のポイントになる。
高校化学では、電気分解で流れた電気量(電流×時間)から、生成した物質の物質量(mol)を計算する「ファラデーの法則」を学ぶ。また、水溶液の電気分解だけでなく、溶融塩電解による金属の精錬(アルミニウムの製錬など)まで扱う範囲が広がる。高校化学・単元7と関連
📖 高校化学「電極反応とファラデーの法則」を見てみる化学電池(ボルタ電池)
電気分解とは逆に、化学変化を利用して電気を作り出す装置が電池。うすい硫酸に亜鉛板と銅板を入れるだけの単純な電池(ボルタ電池)でも、電球を光らせるだけの電気を生み出せる。
化学変化によって電気エネルギーを取り出す装置を化学電池という。 ボルタ電池は希硫酸に亜鉛板と銅板を入れた最も簡単な電池。
図2:ボルタ電池。亜鉛(負極)が溶け出し、電子が外部回路を流れて銅板(正極)で水素が発生する。
電池の負極は酸化(電子を放出)・正極は還元(電子を受け取る)。 電池内部では電流はZn→Cu方向に流れ、外部回路では電流は正極→負極(電子と逆方向)に流れる。
❌ よくある誤解
電流の向きは、電子が発見されるより前に「+から-へ流れる」と決められてしまった歴史的な経緯によるもの。電子の流れと電流の向きは逆、という点は繰り返し確認しておきたい。
高校化学では、ボルタ電池をさらに実用的にした「ダニエル電池」(両極を隔膜で分けることで電圧の低下を防ぐ工夫)や、車のバッテリーに使われる「鉛蓄電池」、水素と酸素から発電する「燃料電池」まで、実用電池の仕組みを幅広く学ぶ。高校化学・単元6と関連
📖 高校化学「電池の原理とダニエル電池」を見てみる✅ この単元のまとめ
- 電気分解:電流を流して化合物を分解(電気エネルギー → 化学変化)
- 陰極(-):陽イオンが還元される(CuCl₂では Cu が析出)
- 陽極(+):陰イオンが酸化される(CuCl₂では Cl₂ が発生)
- 化学電池:化学変化で電気を取り出す(化学エネルギー → 電気エネルギー)
- ボルタ電池:Zn板(負極)と Cu板(正極)を希硫酸に入れた電池
- 負極で酸化・正極で還元(電気分解と逆の対応)
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