発熱反応・吸熱反応
燃焼はなぜ熱くなる?冷却パックはなぜ冷たい?
化学変化とエネルギーの関係を発熱・吸熱で整理しよう。
化学変化とエネルギー
使い捨てカイロを開けると温かくなり、冷却パックをもむと冷たくなる。どちらも化学変化だが、片方は熱を出し(発熱反応)、もう片方は熱を吸収する(吸熱反応)という正反対の性質を持っている。
化学変化が起こるとき、エネルギーが出たり吸収されたりする。 熱が出る反応を発熱反応、熱が吸収される反応を吸熱反応という。
図1:発熱反応は反応後にエネルギーが低くなり熱を放出。吸熱反応は熱を周りから吸収して高いエネルギー状態になる。
高校化学では、このエネルギーの出入りを「反応エンタルピー」という具体的な数値(kJ/mol)で表し、複数の反応を組み合わせたときの熱量を計算する「ヘスの法則」まで学ぶ。エネルギー図も、より精密なグラフとして扱われるようになる。高校化学・単元5と関連
📖 高校化学「ヘスの法則とエネルギー図」を見てみる発熱反応の例
ものが燃えるとき(燃焼)、鉄がゆっくり錆びるとき、酸とアルカリが混ざるとき(中和)——これらはすべて発熱反応の仲間。使い捨てカイロは、鉄がゆっくり酸化する発熱反応を利用したものである。
🔥 おもな発熱反応
| 反応 | 化学反応式 | 身近な例 |
|---|---|---|
| 燃焼(炭素) | C + O₂ → CO₂ | 木炭・バーベキュー |
| 燃焼(水素) | 2H₂ + O₂ → 2H₂O | 水素自動車・燃料電池 |
| 鉄の酸化(遅い) | 4Fe + 3O₂ → 2Fe₂O₃ | カイロ・鉄の錆 |
| 中和反応 | HCl + NaOH → NaCl + H₂O | 胃薬(酸を中和) |
使い捨てカイロは鉄粉が空気中の酸素とゆっくり反応する鉄の酸化(発熱反応)を利用している。 塩水や活性炭が反応の速度調整役になっている。
❌ よくある誤解
「反応を始めるための熱」と「反応が全体として出す熱」を混同しないこと。カイロの鉄の酸化のように、着火なしで自然に始まり、ゆっくり熱を放出し続ける発熱反応もある。
高校化学では、鉄の酸化のように反応が「始まるまでの反応速度」を、活性化エネルギーという考え方で説明する。反応が発熱するかどうかとは別に、どれだけ速く進むかを決めるのが活性化エネルギーであり、触媒によって速度を変えられることも学ぶ。高校化学・単元8と関連
📖 高校化学「活性化エネルギーと触媒」を見てみる吸熱反応の例
炭酸水素ナトリウム(重曹)とクエン酸を混ぜると、シュワシュワと泡(CO₂)が出ながら、まわりが冷たくなる。これは反応が周りから熱を奪っている証拠——吸熱反応の代表例である。
❄️ おもな吸熱反応
| 反応 | 変化 | 特徴 |
|---|---|---|
| 炭酸水素ナトリウム + 酢(クエン酸) | NaHCO₃ + 有機酸 → CO₂ + 水 + 塩 | 混ぜると冷たくなる(市販の冷却パックに利用) |
| 炭酸水素ナトリウムの熱分解 | 2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + H₂O + CO₂ | 加熱で分解(ベーキングパウダーの膨張) |
| 光合成 | 6CO₂ + 6H₂O + 光 → C₆H₁₂O₆ + 6O₂ | 光エネルギーを吸収して有機物を合成 |
❌ よくある誤解
エネルギーは「作られる」のではなく、「姿を変えて移動する」だけ、というエネルギー保存の考え方が背景にある。
高校化学では、発熱反応・吸熱反応を「反応エンタルピー ΔH」の符号(発熱はマイナス、吸熱はプラス)で表す。燃焼エンタルピー・生成エンタルピー・溶解エンタルピーなど、反応の種類ごとに名前がついた反応エンタルピーを使い分けられるようになる。高校化学・単元5と関連
📖 高校化学「反応エンタルピーの種類」を見てみる✅ この単元のまとめ
- 発熱反応:熱を放出し、周囲の温度が上がる(燃焼・鉄の酸化・中和など)
- 吸熱反応:熱を吸収し、周囲の温度が下がる(炭酸水素ナトリウム+酸など)
- カイロ:鉄の酸化(発熱反応)を利用
- 冷却パック:吸熱反応(硝酸アンモニウムが水に溶ける際の溶解熱など)を利用
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