水溶液の濃度と溶解度
食塩水の「濃さ」はどうやって数字で表す?
なぜ水を冷やすと結晶が出てくる?
溶解度・濃度・再結晶を一気に押さえよう。
溶質・溶媒・溶液
砂糖を水に溶かして砂糖水を作るとき、溶けている砂糖・溶かしている水・できあがった砂糖水、この3つはそれぞれ別の名前で呼ばれる。この呼び方を区別できると、この先の濃度計算がぐっと理解しやすくなる。
何かを水に溶かすとき、溶けているもの(溶質)・溶かす液体(溶媒)・できた液全体(溶液)の3つを区別して覚えよう。
📖 用語の整理
| 用語 | 意味 | 例(砂糖水) |
|---|---|---|
| 溶質(ようしつ) | 溶けているもの | 砂糖 |
| 溶媒(ようばい) | 溶かしている液体 | 水 |
| 溶液(ようえき) | 溶質+溶媒の全体 | 砂糖水 |
溶媒が水の場合、溶液を特に水溶液と呼ぶ。
❌ よくある誤解
「透明=無色」ではない。にごって底が見えない状態でなければ、色がついていても水溶液とよべる。
高校化学では、溶液の性質がさらに深まり、蒸気圧降下・沸点上昇・凝固点降下・浸透圧といった「溶質の量だけで決まる性質(束一的性質)」を学ぶ。溶質の種類によらず、溶けている粒子の数だけで効果が決まるという新しい視点が加わる。高校化学・単元4と関連
📖 高校化学「希薄溶液の束一的性質」を見てみる質量パーセント濃度
「濃い塩水」「薄い塩水」を、感覚ではなく数字で正確に表したいときに使うのが質量パーセント濃度。溶液全体のうち、溶けているものが何%を占めているかを表す。
溶液全体の質量に対して溶質が何%含まれているかを表す数値。
🧮 計算例
水 180 g に食塩 20 g を溶かした。濃度は?
溶液の質量 = 180 + 20 = 200 g
濃度 = 20 ÷ 200 × 100 = 10%
「溶液の質量 = 溶質 + 溶媒」を忘れずに。溶液の質量を「水の質量だけ」と間違えるミスが多い。
❌ よくある誤解
「水180gに食塩20gを溶かした」場合、分母は180gではなく、溶質を加えた200g(溶液全体)にする必要がある。この分母の取り違えが最も多いミス。
高校の化学基礎では、質量パーセント濃度に加えて「モル濃度(mol/L)」という、溶液1Lあたりに溶けている物質量(mol)で表す濃度を学ぶ。化学反応の量的関係を扱うときは、こちらのモル濃度がメインで使われるようになる。化学基礎・単元8と関連
📖 化学基礎「モル濃度と希釈」を見てみる溶解度と溶解度曲線
コップの水に砂糖を入れ続けると、あるところで溶けきれずに底に残るようになる。この「溶ける限界の量」を溶解度といい、物質ごとに、そして水の温度ごとに決まっている。
溶解度とは、一定量の溶媒(ふつう水 100 g)に溶ける溶質の最大量(g)のこと。 温度によって変わり、温度と溶解度の関係をグラフにしたものを溶解度曲線という。
図1:溶解度曲線。物質によって温度依存性が大きく異なる。
📊 おもな物質の溶解度(水 100 g あたり)
| 物質 | 0℃ | 20℃ | 40℃ | 60℃ | 80℃ |
|---|---|---|---|---|---|
| 硝酸カリウム(KNO₃) | 13.3 | 31.6 | 63.9 | 110 | 169 |
| 塩化ナトリウム(NaCl) | 35.7 | 35.8 | 36.4 | 37.1 | 38.0 |
| ミョウバン(KAl(SO₄)₂·12H₂O) | 3.0 | 11.4 | 23.8 | 57.4 | 321 |
高校化学では、溶解度の考え方がコロイド溶液(デンプン水溶液や墨汁のように、粒子が大きいために沈殿せず分散している液)や、気体の溶解度(温度が上がると溶けにくくなる、炭酸飲料が温かいと泡立つ理由)まで広がっていく。高校化学・単元4と関連
📖 高校化学「溶解度とコロイド」を見てみる再結晶——混合物から純物質を取り出す
不純物が混ざった物質から、目的の物質だけをきれいに取り出したいとき、溶解度の温度による変化を利用する方法がある。熱いお湯にたくさん溶かしてからゆっくり冷やすと、溶けきれなくなった分がきれいな結晶になって出てくる。
高温で溶かした溶液を冷やすと、溶けきれなくなった分が結晶として出てくる。 これを再結晶という。溶解度の温度依存が大きい物質(KNO₃など)に有効。
🔬 再結晶の手順
- 混合物を高温の水に溶かす(飽和状態にする)
- ゆっくり冷やす
- 溶解度が下がった分だけ結晶が析出する
- ろ過して結晶を取り出す
❌ よくある誤解
「溶解度曲線の傾きが急かどうか」を見て、再結晶が有効かどうかを判断する必要がある。
再結晶は、蒸留・ろ過・抽出・クロマトグラフィーなどと並ぶ「混合物の分離技術」の1つとして、高校化学基礎で体系的に整理される。それぞれの技術が「何の違い(沸点・溶解度・粒の大きさなど)」を利用しているのかを区別して覚えることが重要になる。化学基礎・単元1と関連
📖 化学基礎「純物質と混合物・分離技術」を見てみる✅ この単元のまとめ
- 溶液 = 溶質 + 溶媒(溶媒が水 → 水溶液)
- 質量パーセント濃度(%)= 溶質 ÷ 溶液 × 100
- 溶解度 = 水 100 g に溶ける溶質の最大量(g)
- 溶解度曲線:KNO₃ は急上昇、NaCl はほぼ水平
- 再結晶:溶解度の温度依存が大きい物質に有効
- NaCl の分離には蒸発乾固を使う
理科専門塾 Chem Atlas Academy
調べる力を、得点力に変える塾。
中学・高校・高専生のための、完全オンライン理科専門塾。
授業はせず、月4回のオンライン解説で伴走します。
💡 内容の誤りやご意見はお気軽にどうぞ。
✉️ お問い合わせはこちら