高校化学 Unit 05

反応エンタルピーとヘスの法則

化学反応で出入りする熱を正確に計算するには?エンタルピーとヘスの法則で経路に依らない計算を身につけよう。

🔥 反応エンタルピー⚖️ ヘスの法則📊 エネルギー図
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反応エンタルピーの種類

ガスコンロで都市ガスを燃やすと熱くなる。これは反応が熱を「出す」反応(発熱反応)だからだ。逆に、瞬間冷却パックのように、水に硝酸アンモニウムを溶かすと周りが冷たくなる変化もある。これは熱を「吸う」反応(吸熱反応)。

化学反応にともなって出入りする熱の量を数値化したものを反応エンタルピー(ΔH)とよぶ。発熱反応ならΔHはマイナス、吸熱反応ならΔHはプラスの値になる、という約束になっている。

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ヘスの法則とエネルギー図

山の麓から頂上まで登るとき、まっすぐ登っても、ジグザグに遠回りしても、最終的に登った標高(高さの差)は同じになる。銀行口座も同じで、途中で何度も入金・出金を繰り返しても、最初と最後の残高の差は、その入出金の合計と必ず一致する。

化学反応の熱の出入りも同じ考え方が成り立つ。反応の「始まり」と「終わり」が同じであれば、途中でどんな経路(何段階の反応)を通っても、出入りする熱の合計は変わらない。これをヘスの法則という。

🎯 練習問題

まず自分で解いてから、「答えを見る」を押して確かめよう。

問1 ★ 反応エンタルピーの符号

発熱反応の反応エンタルピー ΔH の符号は、正と負のどちらか。

  • ア正(ΔH > 0)
  • イ負(ΔH < 0)
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答えイ

発熱反応では、反応後のエンタルピーが小さくなる。

問2 ★★ 反応エンタルピーと物質量

H₂(気) + ½O₂(気) → H₂O(液) ΔH = −286 kJ である。水素 2.0 mol が完全燃焼して液体の水になるとき、放出される熱量は何kJか。

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答え572 kJ

水素 1 mol あたり 286 kJ の熱が出る。

問3 ★★ 燃焼と熱量

炭素(黒鉛)の燃焼エンタルピーは −394 kJ/mol である。炭素 6.0 g が完全燃焼するとき、放出される熱量は何kJか。炭素の原子量は12とする。

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答え197 kJ

炭素 6.0 g は 0.50 mol。394 × 0.50。

問4 ★★ ヘスの法則

次の2つの反応エンタルピーから、SO₂(気) + ½O₂(気) → SO₃(気) の ΔH を求めよ。
S(固) + O₂(気) → SO₂(気) ΔH = −297 kJ
S(固) + 3/2 O₂(気) → SO₃(気) ΔH = −395 kJ

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答え−98 kJ

2つ目の式から1つ目の式を引く。−395 − (−297)。

問5 ★★★ 逆反応の反応エンタルピー

H₂(気) + ½O₂(気) → H₂O(液) ΔH = −286 kJ である。2H₂O(液) → 2H₂(気) + O₂(気) の ΔH は何kJか。符号をつけて答えよ。

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答え+572 kJ

逆向きにすると符号が反対になり、2倍にすると値も2倍になる。

問6 ★★★ 結合エンタルピー

N₂(気) + 3H₂(気) → 2NH₃(気) の ΔH を、結合エンタルピーから求めよ。結合エンタルピーは、N≡N が 945 kJ/mol、H–H が 436 kJ/mol、N–H が 391 kJ/mol とする。

答えを見る

答え−93 kJ

ΔH = 切る結合の合計 − できる結合の合計。NH₃ 2分子に N–H 結合は6本。

✅ この単元のまとめ

  • 反応エンタルピー ΔH:発熱 → ΔH < 0、吸熱 → ΔH > 0
  • 生成エンタルピー:単体から1 molの化合物を生成するときのΔH
  • 燃焼エンタルピー:1 molが完全燃焼するときのΔH(常に負)
  • 結合エンタルピー:共有結合1 molを切断するためのΔH(常に正)
  • ヘスの法則:反応経路に関わらずΔHの総和は一定
  • 計算:式を逆転(ΔH 符号反転)・倍加(ΔH 倍加)して目的反応式を作る
  • 結合エンタルピーからΔH = Σ(切る結合) − Σ(作る結合)

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