電流と磁界
電流が流れると磁界ができる。磁界の中で電流に力がはたらく。
モーターと発電機の原理を図解で理解しよう。
磁界と磁力線
方位磁針を電線の近くに置くと針が振れる。電流が流れているだけで、そこには目に見えない磁力がはたらく空間(磁界)が作られている。これは19世紀に発見された、電気と磁気を結びつける重要な現象である。
磁界とは磁力がはたらく空間のこと。方向は磁力線(N 極から S 極への線)で表す。電流が流れる導線の周りにも磁界ができる。
図1:棒磁石の磁力線(左)と直線電流が作る磁界(右)。
❌ よくある誤解
電磁石はまさにこの性質を利用しており、電流を流すと磁石になり、止めると磁石でなくなる。永久磁石と電流による磁界は、根本的には同じ現象(電子の運動)に由来している。
高校物理では、磁界の強さを数値化した「磁束密度」という量を使い、電流が作る磁界の大きさを、電流の大きさや導線からの距離をもとに計算できるようになる。電気と磁気の統一的な理解(電磁気学)の入り口となる。高校物理の範囲
電磁力とモーター
磁石のそばに置いた導線に電流を流すと、導線がピクッと動く。この「磁界の中を流れる電流が力を受ける」現象を利用して、扇風機やミニ四駆のモーターは回転している。
磁界の中に電流を流すと力がはたらく——これを電磁力(ローレンツ力)という。モーターはこの原理で回転する。
✋ フレミングの左手の法則
- 人差し指:磁界の向き(N→S)
- 中指:電流の向き
- 親指:力(電磁力)の向き
3本の指を互いに直角にした左手を使う。覚え方:「磁・電・力(じ・でん・りょく)」
❌ よくある誤解
「磁・電・力」の語呂合わせで、人差し指から親指へ向かう順番(磁界→電流→力)を正確に覚える必要がある。
高校物理では、電磁力の大きさを F = IBL(電流×磁束密度×導線の長さ)という式で定量的に計算できるようになる。モーターの回転を作り出す力の大きさが、電流や磁石の強さでどう変わるかを数式で扱えるようになる。高校物理の範囲
電磁誘導と発電
モーターとは逆に、コイルの中で磁石を動かすだけで、電流が自然に生まれる現象がある。これが電磁誘導で、発電所の発電機はすべてこの原理を使って電気を作り出している。
コイルの中で磁石を動かすと電流が生じる——これを電磁誘導という。発電機はこの原理で交流を作り出す。
🔌 電磁誘導のポイント
- 磁石を動かすほど(速いほど)誘導電流が大きくなる
- コイルの巻き数が多いほど誘導電流が大きくなる
- 磁石が動く向きを逆にすると誘導電流の向きも逆になる
- 磁石を止めると電流は流れない(変化が必要)
❌ よくある誤解
「磁石がある」ことと「磁界が変化している」ことは別。動かす・出し入れするなど、変化を作らないと発電は起こらない。
高校物理では、電磁誘導によって生じる起電力の大きさを「レンツの法則」「ファラデーの電磁誘導の法則」という式で定量的に扱う。発電所のタービンがコイルを回転させ続けることで、家庭に届く交流電流がどのように作られているかまで理解できるようになる。高校物理の範囲
✅ この単元のまとめ
- 磁界:磁力がはたらく空間;磁力線は N 極から S 極へ向かう
- 電流の周りには磁界ができる(右ねじの法則)
- 電磁力:磁界中の電流に力がはたらく(フレミングの左手の法則)
- モーターは電磁力を回転運動に変換する
- 電磁誘導:コイル内の磁界変化で電流が発生する
- 発電機は電磁誘導を使って機械エネルギー→電気エネルギーに変換する
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