🏁 三態の基礎:粒子モデルで見る固体・液体・気体
物質は温度や圧力により固体・液体・気体の三つの状態をとります。粒子モデルでは、 固体は位置がほぼ固定(微小な振動のみ)、液体は近接しつつも位置交換が可能、気体は粒子が離れて 容器全体へ広がります。温度は平均運動エネルギー、圧力は壁への衝突の効果と結びつきます。
- 固体:形・体積とも一定。規則配列(結晶)や乱れた配列(アモルファス)がある。
- 液体:体積はほぼ一定、形は容器に従う。流動性・表面張力。
- 気体:形・体積とも容器に従い、容易に圧縮できる。
🔁 相変化の名前と向き(吸熱/発熱)
| 状態変化 | 方向 | 熱のやりとり | 一言モデル |
|---|---|---|---|
| 融解 | 固体 → 液体 | 吸熱 | 秩序の低下にエネルギーが必要 |
| 凝固 | 液体 → 固体 | 発熱 | 配列を整えるとエネルギーを放出 |
| 蒸発(沸騰/表面からの蒸発) | 液体 → 気体 | 吸熱 | 粒子が引力を振り切る |
| 凝縮 | 気体 → 液体 | 発熱 | 引力に取り込まれる |
| 昇華 | 固体 → 気体 | 吸熱 | ドライアイス・ヨウ素など |
| 凝華 | 気体 → 固体 | 発熱 | 霜ができる |
🌡️ 加熱曲線と潜熱:温度が止まる理由
物質1 molに熱量 $q$ を与えると、温度変化中は \( q = n C \\Delta T \)(定圧・定積モル熱容量)に従いますが、相変化の区間では温度が一定になり、 入れた熱は潜熱として粒子間の結びつきに使われます。
- 融解熱: \( q = n\\,\\Delta H_{\\rm fus} \)
- 蒸発熱: \( q = n\\,\\Delta H_{\\rm vap} \)
教科書の加熱曲線(固体→液体→気体)では、傾きが温度上昇、水平部が相変化(潜熱吸収)を示します。
💨 蒸発と沸騰の違い・平衡蒸気圧と沸点
蒸発は液表面から高エネルギー粒子が飛び出す現象。ふたをした容器では、やがて 蒸発と凝縮がつり合い平衡蒸気圧 $p^{\\*}(T)$ に達します。 平衡蒸気圧は温度とともに指数的に増加し、外圧 $p_{\\rm ext}$ と等しくなる温度を沸点といいます。
| 用語 | 定義 | ポイント |
|---|---|---|
| 蒸発 | 液表面からの気化(どの温度でも起こる) | 表面積↑・風通し↑・温度↑で速くなる |
| 沸騰 | $p^{\\*}(T)=p_{\\rm ext}$ となり、液内部にも気泡が生じる | 外圧が低いほど沸点は低下(山頂で沸騰温度が下がる) |
| 平衡蒸気圧 | 密閉下で蒸発と凝縮がつり合った気相の圧力 | 液体固有の曲線。揮発性↑ほど大きい |
発展:近似的に \( \\ln p^{\\*} \\approx -\\dfrac{\\Delta H_{\\rm vap}}{R}\\,\\dfrac{1}{T} + \\text{const} \)(クラウジウス–クラペイロンの関係)で表され、 直線の傾きから蒸発熱を見積もれます。
🗺️ 相図の読み方:三重点・臨界点・水の特異性
圧力–温度($p$–$T$)平面に相の安定領域を描いたものが相図。三つの相が共存する交点を三重点、 気液の区別が消える点を臨界点といいます。水の相図では融解曲線が負の傾きになり、 加圧で融点が下がる(氷が圧で溶けやすい)という特徴があります。
- 一般の物質:融解曲線は正の傾き(加圧で固体が安定)。
- 水:氷の方が密度が小さいため、加圧で液体が有利 → 負の傾き。
- 相図の各境界は相平衡を表し、曲線上では二相が共存。
🧪 観察のコツと安全メモ
- 沸騰の観察では突沸防止のため沸騰石を使用。外圧を変える実験は真空ポンプやシリンジで安全に。
- 密閉容器での加熱は危険。平衡蒸気圧の実験は必ず圧力逃し機構のある装置で。
- 加熱曲線の作図は、温度計の応答遅れと攪拌の有無に留意(水平部の見落とし防止)。
📝 まとめ
- 三態は粒子の並びと運動で説明できる:固体(位置固定)/液体(近接・流動)/気体(拡散)。
- 相変化では温度一定で潜熱を出入りする(融解熱・蒸発熱)。
- 平衡蒸気圧は $T$ とともに増加、外圧と等しくなった温度が沸点。
- 相図は三重点・臨界点・曲線の傾きに注目。水は融解曲線が負の傾きという特異性。
※ 図(粒子モデル、加熱曲線、相図、蒸気圧曲線など)は教科書の内容をもとに、あなたの作図に差し替えてください。