📌 分子の極性(極性分子/無極性分子)
分子の極性は結合双極子のベクトル合成で決まります。各結合の極性は電気陰性度差によって生じ、 矢印(負側へ)で表します。分子の形(直線・折れ線・三角錐・正四面体 など)で ベクトルが打ち消し合うかどうかがポイントです。
- 無極性の代表例:CO2(直線で打ち消し)/CH4(正四面体で対称)。
- 極性の代表例:H2O(折れ線)/NH3(三角錐)。
双極子モーメントはおおまかに $\\(\\mu = q\\,r\\)$ で表され、電荷 $q$ と距離 $r$ が大きいほど極性が強くなります (単位:D, デバイ)。図は各自のイラストに合わせて、矢印と角度(例:H–O–H は約104.5°)を明示してください。
🤝 分子間力の種類と強さの序列
分子どうしを引き寄せる力を総称して分子間力と呼びます。高校化学では主に次の3系統+水素結合を扱います。
| 種類 | 起源(ざっくり) | 典型例 | 距離依存の目安 | 強さの目安 |
|---|---|---|---|---|
| 双極子–双極子力 | 極性分子同士の静電引力 | HCl同士、CH3Cl同士 など | 概ね $\\(\\propto r^{-6}\\)$ | 分散力より強い(数 kJ/mol 程度) |
| 双極子–誘起双極子力 | 極性分子が隣の分子の電子雲をゆがめて誘起 | HCl と Ar など | $\\(\\propto r^{-6}\\)$ | 中間(~1 kJ/mol 程度) |
| 分散力(ロンドン力) | 瞬間的な偏り(瞬間双極子)同士の引力 | I2、Xe、n-ペンタン > イソペンタン | $\\(\\propto r^{-6}\\)$、分極率↑で増大 | 最も弱いが分子量↑で大型化 |
| 水素結合 | H–F, H–O, H–N のHが別分子の孤立電子対へ | HF, H2O, NH3 など | 方向性が強い(一直線に近いほど強い) | 分子間力としては最強(10–40 kJ/mol 程度) |
🌡️ 沸点の規則:同族比較と水素結合の飛び抜け
同族系列では、分子量が増えるほど分散力が増大し沸点は上昇します(例:F2 < Cl2 < Br2 < I2)。 一方、HF・H2O・NH3は水素結合で同族のトレンドから大きく上に外れます。 教科書の相関図(「分子量と沸点の関係」)は、一般傾向(分散力)と飛び抜け(H結合)を見比べる良い練習になります。
- 同じ分子量なら極性分子 > 無極性分子(双極子–双極子が効く)。
- 枝分かれが多い分子は表面積が減り分散力が弱くなるため、同分子量でも直鎖 > 分岐で沸点が高い。
💧 水素結合の実像と水の「特別」
H–F / H–O / H–N などでは、H原子が別分子の孤立電子対へ引き寄せられ、方向性の強い結合様相をつくります。 水では各 H2O がほぼ正四面体配置で4本の水素結合ネットワークを形成し、固体(水氷)では 開いた骨格(空隙多め)になるため氷の密度 < 液水となります。 その結果、4 ℃ 付近で密度最大、氷が水に浮く、融解・蒸発の潜熱が大きい、など多くの「生活に直結する」性質を生みます。
🧊 分子結晶と性質(昇華性・電気伝導性)
CO2(ドライアイス)、I2などは分子結晶を作り、結合は分子内、分子間は主にファンデルワールス力です。 したがって融点・沸点が低く柔らかい/電気を通しにくい/昇華しやすいなどの特徴を示します。 金属結晶・イオン結晶・共有結合の結晶との比較表も下にまとめておきます。
| 結晶の種類 | 構成と結びつき | 融点 | 硬さ | 電気伝導性 |
|---|---|---|---|---|
| 分子結晶 | 分子+分子間力 | 低 | 柔らかい | なし(液化・溶媒中でも基本なし) |
| イオン結晶 | 陽イオン–陰イオン | 高 | もろい | 固体:なし/溶融・水溶液:あり |
| 金属結晶 | 金属原子+自由電子 | 中–高 | 展性・延性 | 固体・溶融:あり |
| 共有結合の結晶 | 原子が三次元に共有結合網 | 非常に高 | 非常に硬い | 一般になし(例外:黒鉛) |
📝 まとめと作図のコツ
- 極性は「形」で決まる:結合双極子のベクトル和。打ち消し=無極性。
- 強さの序列:水素結合 ≫ 双極子–双極子 ≳ 双極子–誘起双極子 ≳ 分散力。
- 沸点:「分子量↑・表面積↑・極性あり・H結合あり」で上昇。例外は作図で理由を可視化。
- 水の特異性:氷の開いた構造 → 4 ℃で密度最大、氷が浮く。