🔷 共有結合の結晶(巨大分子)とは

共有結合の結晶は、原子どうしが方向性をもつ共有結合で 三次元的に無限に連結した「巨大分子(ネットワーク固体)」である。 単なる分子同士の集合(分子結晶)ではなく、結晶全体が原子レベルで結合網になっている点が決定的に違う。 そのため一般に融点がきわめて高く、非常に硬い。さらに電気を通さないものが多く、 水などの溶媒に溶けにくい。代表例はダイヤモンド(C)、黒鉛(C)、ケイ素Si、二酸化ケイ素SiO2など。

💎 ダイヤモンド(C)

各炭素原子がsp3混成して4方向(正四面体方向)に隣接原子と σ結合を作り、三次元に広がる堅固なネットワークを形成する。 C–C結合距離はおよそ0.154 nm
特徴:非常に硬い・融点は極めて高い・電気伝導性なし(絶縁体)・密度は約3.5 g/cm3

ダイヤモンドの構造(正四面体格子・単位格子の概念)

🪨 黒鉛(グラファイト:C)

各炭素原子はsp2混成で同一平面内に正六角形格子を作り(C–C 約0.142 nm)、 隣の未混成p軌道が重なって層内に非局在化電子(π電子)が広がる。 層間はファンデルワールス力で緩く結合し、層間距離は約0.335 nm(教科書の図では0.670 nmの2層周期も示される)。 そのため柔らかく、すべりやすい潤滑性を示す一方、層方向には導電性をもつ(π電子の移動が可能)。密度は約2.3 g/cm3

黒鉛の層構造・六角網・単位格子(層間距離)

🧑‍🔬 ケイ素 Si と 二酸化ケイ素 SiO2

ケイ素 Si(単体)

濃灰色で金属光沢をもつ結晶。結晶構造はダイヤモンドと同型(sp3混成の四面体ネットワーク)。 半導体として重要で、融点は1410 ℃、密度は約2.3 g/cm3

二酸化ケイ素 SiO2

Si–O–Si を骨格とする三次元ネットワーク。天然では石英(クォーツ)など多様な多形が知られ、 構造はダイヤモンドのC–CをSi–O–Siに置き換えたイメージ(結合角・距離は異なる)。
非晶質(アモルファス)としてのガラス(石英ガラス)も存在し、透明で硬く、融点・軟化点は高い。

Si(ダイヤモンド型)とSiO2 ネットワークの模式図

📌 共有結合結晶の性質(総まとめ)

項目一般的な傾向理由・補足
融点・沸点 きわめて高い 強固な共有結合が三次元的に連結(結合切断が相当数必要)。
硬さ 非常に硬い(例:ダイヤモンド) 方向性のある結合網が変形を強く抑える。
電気伝導性 基本はなし 価電子が局在。例外:黒鉛は層内で導電性、Siは半導体。
溶解性 溶けにくい 分子として離脱できず、溶媒和による崩壊が困難。
密度 物質で異なる ダイヤモンド ≈ 3.5、黒鉛 ≈ 2.3 g/cm3(層状で疎)。

🚀 ダイヤモンド類似の硬質材料

共有結合網に近い骨格をもつ化合物として、炭化ケイ素 SiC窒化ケイ素 Si3N4窒化ホウ素 BN などが知られる。 SiCは非常に硬く耐熱性に優れ、研磨材やパワー半導体の基板として利用される。 BNは黒鉛状(h-BN:潤滑・絶縁)とダイヤモンド状(c-BN:超硬)の多形をもつ。

🧾 代表物質の比較

物質骨格電気伝導性特徴
ダイヤモンド(C)sp3 四面体なし(絶縁体)極めて硬い・高融点・高密度(~3.5)
黒鉛(C)sp2 六角層状層内で良好柔らかい・潤滑・密度~2.3、層間は弱結合
Siダイヤモンド型半導体融点1410℃、エレクトロニクス材料
SiO2Si–O–Si 3D網基本なし石英・水晶・ガラス(非晶)

✅ 共有結合結晶まとめ

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共有結合結晶