🔷 共有結合とは(分子の生成)

共有結合は、2つの原子が価電子を共有して安定化する結合である。たとえば水素原子H同士が接近すると、 原子間距離が小さくなるにつれ引力(原子核と相手の電子の静電引力)が強まり、やがて最小のポテンシャルとなる距離で平衡に達する。 その距離を結合距離、谷の深さを結合エネルギーという。

H2の結合エネルギーと結合距離の概念図

遠すぎると引力が弱く、近すぎると原子核同士・電子同士の反発が増えるため、最安定の距離(H2では約0.074 nm)で分子が形成される。

🟡 共有電子対と非共有電子対

2個の電子が対になって結合に関与する電子対を共有電子対、結合に関与せず原子上に残る電子対を非共有電子対(孤立電子対)という。 例として水分子H2Oでは、O原子の6個の価電子のうち2組がHとの共有に使われ、残り2組が孤立電子対として残る。

H2O生成のしくみ(不対電子→共有電子対、孤立電子対)

Lewis(ルイス)構造式では、結合に使われる電子対を「—」や「:」で表し、孤立電子対は原子の周囲に点や対で示す。

🧩 共有結合の種類と構造式

1組の共有電子対でできる結合を単結合、2組で二重結合、3組で三重結合という。 代表例として、水素(H–H)は単結合、二酸化炭素(O=C=O)は二重結合、窒素(N≡N)は三重結合である。

単結合・二重結合・三重結合とルイス構造式の例

多重結合は一般に結合距離が短く結合エネルギーが大きい(強い)。構造式や電子式では、価電子配置と共有/非共有電子対の配置を正確に表す。

🧮 原子価とオクテット

原子が何組の共有電子対で結合できるかを表す数が原子価である。典型元素の多くは、希ガス型の 安定配置(He型は2、Ne型は8)を目指すため、オクテット則で説明できることが多い。 例:Cの原子価は4、Nは3、Oは2、Hは1など。

元素主な原子価代表分子
H1H2, HCl
C4CH4, C2H4, CO2
N3(しばしば5も)NH3, N2
O2H2O, O2
F, Cl など1HF, HCl

📐 VSEPRと分子の形(ここからはハイレベルです)

共有結合は方向性をもち、中心原子のまわりの電子対(共有・非共有)は互いに反発してできるだけ離れた配置を取る。 これをVSEPR理論という。電子対間の反発は「孤立電子対–孤立電子対 > 孤立電子対–共有電子対 > 共有電子対–共有電子対」の順で強い。 したがって孤立電子対が増えると結合角は小さくなる。

分子電子対配置 / 分子形代表角度
CH4四面体 / 正四面体形約109.5°
NH3四面体 / 三角錐形(孤立電子対1)約107°
H2O四面体 / 折れ線形(孤立電子対2)約104.5°
CO2直線形180°
BF3正三角形平面形120°
代表分子の形(直線・正三角形平面・四面体・三角錐・折れ線)

🚀 混成軌道と結合の向き

多くの分子では、中心原子の原子軌道が混ざり合って新しい向きをもつ混成軌道をつくる。 代表例として、Cの sp3 混成(CH4の四面体 109.5°)、 sp2 混成(C=C を含む平面三角形 120°、π結合が1本)、 sp 混成(直線 180°、π結合が2本)がある。

sp3/sp2/sp混成の模式図とメタンの生成モデル

1本の結合(σ結合)は結合軸に対して回転対称で強く、二重・三重結合ではσ結合に加えて横方向の重なりによるπ結合が形成されるため、回転が制限される(エチレンの平面性など)。

🧪 共有結合からなる分子の性質

性質概要
融点・沸点一般に低い。分子間力(ファンデルワールス力や水素結合)の強さに依存。
電気伝導性固体・液体ともに低い(自由電子・イオンがない)。
溶解性極性分子は極性溶媒に、無極性分子は無極性溶媒に溶けやすい(相似相溶)。
力学特性柔らかいものが多いが、水素結合が強い系では高沸点・高融点化する。

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共有結合と性質