🔩 結晶

ここで、結晶と結晶格子の定義をおさらいしておく。金属の結晶の分野でも学んだ内容であるが、復習も兼ねて覚えてほしい。

物質を構成する粒子(原子・分子・イオン)が規則正しく三次元的に配列した固体を結晶という。 結晶には、そのまま、あるいは虫眼鏡や顕微鏡でその形を認識することができるものもある。 たとえば、塩化ナトリウムは立方体の結晶構造,ミョウパンでは正八面体の結晶構造をしている。 一方、粉末に見える炭酸カルシウムCaCO3でも、原子の大きさのレベルで見れば規則性のある結晶である。

結晶の構成粒子の空間的な配列を示したものを結晶格子といい、その繰り返しの最小単位を単位格子という。 また,単位格子の一辺の長さは格子定数とよばれる。単位格子は原子やイオンが数個からなるもので、目で見ることは不可能である。単位格子は数種の形に分類されている

結晶構造をもつ物質はいずれも,砕くと、粒子が配列した面にそって割れやすい。これを劈開といい,その単位格子 面を劈開面という。これに対して、ガラスやプラスチックなど、固体であっても結晶をもたない物質も数多く存在する。 これらはアモルファス・無定形固体・非晶・ガラス状態などと呼ばれる。これらは劈開面がないので砕くと色々な形になって割れる。

🔩 イオン結晶

陽イオンと陰イオンとが、クーロンカにより結合して結晶を構成したものイオン結晶である。 イオンからなる物質はイオン結晶を作っている場合が多い。以下にはイオン結晶の代表例を示す。

塩化ナトリウム型構造


塩化ナトリウムNaClでは、下図のようにナトリウムイオンNa+と塩化物イオンCl-が交互に規則正しく並んでいる。1個のNa+のまわりに は、等距離の位置に上下左右前後の計6個のCl-が配列し、1個のCl-に着目しても同様に6個のNa+が配列している。このような状態を 6配位といい、配位数が6であるともいう。下図のように取り出してみると分かりやすいと思う。

塩化セシウム型構造


下図のように、塩化セシウムCsClでは、立方体の各頂点に、例えば陰イオンCl-が配置されたとき、その中心に陽イオンCs+が位置する。 陽イオンと陰イオンをいれかえても全く同じであることから配位数は8であるとわかる。

🔩 イオンの大きさと結晶構造

イオン結晶では、陽イオンと陰イオンの大きさの比によって、取り得る結晶の構造が変わってくる。 一般に、イオンの大きさによって次の3つの状態が考えられる。

図Aの(a)の状態は、陽イオンと陰イオンが接し、陰イオンと陰イオンが接していないので、陽イオンと陰イオンが強く引き合う力が働き、非常に安定に存在することができる。 一方図Aの(c)の状態では陽イオンと陰イオンが接しておらず、陰イオン同士が接しているので陰イオンどうしの反発力が生じるために安定に存在しにくくなる。(存在する物質もある) その境目が図Aの(b)の状態である。この時の陽イオンと陰イオンの半径の比を極限半径比(限界半径比・限界イオン半径比等)という。

塩化ナトリウム型の場合


陽イオンの半径をr陰イオンの半径をRとすると、
図Bより、
数式
であるから、
数式
となる。

塩化セシウム型の場合


同様に、
数式
より、
数式
となる。

以上のことから、陽イオンと陰イオンが同数個ずつからなるイオン結晶では、極限半径比から配位数が決まることになる。しかし、硫化亜鉛ZnSでは0.44であるが、 下の表から4配位であり、正四面体配列をとるなど例外もある。

🔩 イオンからなる物質の性質

イオンからなる物質には塩化ナトリウムNaClや炭酸ナトリウムNa2CO3のような塩のほか、
酸化銅(Ⅱ)CuOや酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3のような金属の酸化物、水酸化ナトリウムNaOHや水酸化カルシウムCa(OH)2のような金属の水酸化物などが該当する。これらに共通する性質は以下のようになる。

融点や沸点


イオン結合は強い結合であり、それを切断してイオンが動けるようにするには多くのエネルギーを必要とする。

電気伝導性


劈開の仕組み


6配位